スポンジレシピ本を作るにあたって
故 鈴木ひろみさんと交わした膨大な量のメールの中から、抜粋。
その1はこちら。
青字が鈴木さんから、
赤字が私からのメールの一部。
2月13日
金曜日はびっくりさせて、すみませんでした。でも、はじめてくにこさんのお声が聞けて嬉しかったです。こうしてメールで書いていることと、お電話で話すこととは内容がどうしても違ってきますし、即、答えがくにこさんから聞けるのがやはりよいですね。折をみて、またご連絡いたします。
2月15日
新しいレシピを考えるのにストレスを感じるようになっては、ダメですよ。本は著者が楽しんで作ってこそ(文章も漫画もイラストも)、ストレートに読者にその面白さが伝わりますからね。でも、原稿を書く段になるとどうしても時間との勝負になるので、誰もがストレスを感じながら書くことになります。そのストレスとの闘いをいかに克服してよいものを作るかが決めてだと思っています。
2月26日
PS それから、くにこさんのイラスト、私、大好きです。イラストレーターにイラストを発注しても、あのくらいわかりやすいイラストを描ける人はそれほどいませんよ。というのも、実際に作る過程でのポイントをくにこさんご自身がはっきりわかっていらっしゃるからだと思います。どういうように描いたら、読者にうまく伝わるかのポイント――ここを、くにこさんはしっかり押さえています。これからもイラスト、がんばってくださいね。
3月26日
春休み、本に取り掛かるのが大変な状態なら、思い切って本のこと忘れて、子ども達と大いに遊んでください。そのほうがよい意味の気分転換になるかもしれません。真面目なくにこさんが1月にご連絡して以来、ずっと気にされていたこと、よく伝わってきていますので、ストレスにならなければいいな、楽しんで原稿を書いてくれればいいなと願っていました。メールでのご連絡もこの際、思い切って休んでもいいですよ。
<略>
ただ、1学期が始まってからは忙しくなりますよ。何が起ころうが、原稿は書かなくてはいけないですし、アイデアも煮詰めていかなければいけない――相当、ストレスがかかるでしょうし、こちらもよい本にしたいので無理を言うかもしれません。くにこさんにとって1学期はかなり大変な状態になるはずですので、今のうちにゆっくり休養するのも一考だと思っています。
<略>
くにこさん、まずは毎日を楽しんでくださいね!! 水に浮かべた雪割草、とても可憐で素敵でした!!!
4月3日
あともう少しで春休みが終わりますが、どうかそれまでお子さん達とゆっくり楽しんでください。
何度も申し上げますが、お返事は1学期が始まったあとで結構です!!
私も4月に入り、少し仕事のほうが楽になりました。私も娘と一緒にボウリングにでも行こうかな!
4月3日
全然話は変わりますが・・・
今日、お通夜に行きました。
中学のときの同級生が脳梗塞で急死したんです。
20歳の同窓会のときにあって以来、14年ぶりに合う姿が棺の中とは・・・
とてもとてもショックでした。
同級生が亡くなったのは初めてでした。
小学校、中学校と60人あまりでずっと同じメンバーでしたから
(クラスは2つに分かれてましたが)
誰が一番最初だろうな・・・と考えたことはありましたが・・・。
最近 生きる、死ぬ・・・について、色々考えます。
生きているうちに「残る」モノを作れるっていうのはものすごく幸せなことだと思います。
不安になったりせず、とにかく精一杯やるしかないですね。
頑張りたいです。
4月5日
ショックなお気持ち、よくわかります。私は東京に出てきてしまっているため、同級生の誰がどうなったかまではわからないのですが、以前「週刊宝石」で一緒に記者をしていた先輩の女性(年は私より二つ下でしたが)が、講談社の前を横切ろうとしたところをタクシーに轢かれ、亡くなってしまったことを今でもずっと覚えています。<略>私もショックで何日も泣いていました。あまりにもあっけなく人生の幕が落ちてしまい、それが逆に彼女の性格の明るさと対照的でしたから、余計に悲しかったのです。
父が亡くなったときも、突然でした。私が昨年、倒れたときも突然の出来事で、人生、先に何があるかわからないとつくづく思っています。それでも、くにこさんがおっしゃるように、精一杯、毎日を生きなければいけないですよね。それから、私は人からやられて自分が嫌だと思うことを、ほかの人にはできるだけしたくないと思っています。それが、よく生きることの一つでないかなと、この頃、思っています。
鈴木さんが亡くなられたのは、このメールから1年と3日後だった・・・